できます。鍵のかかる個室に、机と椅子、Wi-Fi、トイレ、シャワー。声を出す会議でも機密の話でも、場所として問題はありません。判断が要るのは「時間」ではなく「枠」を買う仕組みと、意外に幅のある遮音の水準のほうです。
このページは防音個室ワークスペース SoloWork の運営者が制作しています。デイユースを否定する目的のページではありません。記載は2026年8月時点で各社が公表している情報に基づきます。プランの有無・時間帯・料金は施設ごとに大きく異なり、変更も頻繁です。ご利用前に必ず各施設の公式サイトでご確認ください。参照先はページ下部に記載しています。
滞在するための空間に、デスクを足した構成です。
Web会議をする場所として見たとき、ホテルの客室は必要な条件をひととおり満たします。
ただし、ここは正確に書いておきたいところです。客室はもともと、滞在と休息のために設計された空間です。そこに作業用のデスクを足した構成であって、仕事のために最適化された部屋ではありません。
それでも、Web会議に必要な条件を高い水準で満たしています。一方で判断が必要なのは、設備そのものより、この後に見る遮音と時間の売り方です。
ホテルの客室は、遮音の等級に幅があります。
ホテルの客室は簡易ブースと違い、建物の構造としての壁と扉で囲まれています。ただし構造壁であること自体が、遮音性能の高さを保証するわけではありません。
日本建築学会は『建築物の遮音性能基準と設計指針』のなかで、用途ごとに推奨される遮音等級を示しています。ホテルの客室間の界壁については、次のとおりです。
| 適用等級 | ホテル 客室間界壁 | テレビ・会話などの 聞こえ方 | 性能水準の説明(学会による) |
|---|---|---|---|
| 特級 | Dr-55 | 通常では聞こえない | 特別に高い性能が要求された場合の性能水準 |
| 1級 | Dr-50 | ほとんど聞こえない | 建築学会が推奨する好ましい性能水準 |
| 2級 | Dr-45 | かすかに聞こえる | 一般的な性能水準 |
| 3級 | Dr-40 | 小さく聞こえる | やむを得ない場合に許容される性能水準 |
※横にスクロールできます。適用等級と性能水準の説明は、日本建築学会編『建築物の遮音性能基準と設計指針[第二版]』(技報堂)に基づきます。等級の記号は現行のJIS A 1419-1:2000にならって「Dr」と表記しました。同指針の原表記は「D-55」などですが、2000年の改正で記号がDからDrに変わったもので、同じものとして扱われます。
「聞こえ方」の欄は、同じく学会による生活実感の対応例です。もともとは集合住宅の隣戸間を想定した目安なので、ホテルでそのとおりになるとは限りませんが、等級の水準感をつかむ手がかりになります。数字が大きいほど遮音性能が高くなります。
重要なのは、これが基準ではなく「等級」だということです。どの等級で設計するかは建物ごとの判断で、学会自身が2級を「一般的な性能水準」、3級を「やむを得ない場合に許容される性能水準」と説明しています。すべてのホテルが特級や1級で作られているわけではありません。
そして「一般的」とされる2級(Dr-45)でも、テレビや会話はかすかに聞こえる水準です。3級(Dr-40)なら小さく聞こえる。つまり等級の表そのものが、「隣の音がまったく聞こえない部屋」を標準として想定していません。
宿泊者のレビューで「壁が薄い」「隣室のテレビの音が聞こえる」「廊下の話し声が気になる」といった指摘を目にすることがあるのは、この幅によるところが大きいと考えられます。築年数や構造、リノベーションの有無によっても変わります。
実際にどの程度かは、部屋に入ってみないと分かりません。会議の前に一度、静かな状態で耳を澄ませてみるのが現実的な確認方法です。隣室や廊下の音が聞こえるようなら、こちらの声も届いていると考えて話し方を調整することになります。
枠売りそのものは珍しくありません。特徴は、枠が時刻に固定されていることです。
「3時間プラン」「5時間パック」といったまとめ売りは、コワーキングスペースにもワークブースにもあります。まとめて買うと割安になるというだけなら、特に変わった仕組みではありません。
デイユースが違うのは、枠が具体的な時刻に貼り付いていることです。「6時間」ではなく「11時から17時まで」。何時から始めるかを、こちらで選べるわけではありません。
これは客室の回し方から来ています。ホテルは前の利用者のチェックアウトと清掃を挟んで部屋を回しているので、入室と退室の時刻をある程度そろえる必要があります。任意の時刻から任意の長さ、という売り方とは相性がよくありません。
| 施設(東京23区内) | 枠の設定 | 料金の目安(一例) |
|---|---|---|
| アパホテル〈新宿 歌舞伎町中央〉 | 11:00〜17:00(最大6時間) | 5,670〜6,750円 |
| アパホテル&リゾート〈東京ベイ潮見〉 | 11:00〜17:00(最大6時間) | 10,100〜11,200円 |
| ヴィラフォンテーヌ グランド 東京有明 | 12:00〜18:00(最大6時間) | 13,470円 |
| ヴィラフォンテーヌ グランド 東京有明 | 17:00〜23:00(最大6時間) | 13,470円 |
| ヴィラフォンテーヌ グランド 東京有明 | 12:00〜24:00(最大4時間) | 12,240円 |
※横にスクロールできます。2026年8月時点で各社および楽天トラベルに掲載されている内容の一例です。料金は1名利用・税込で、直近30日間の目安として表示されていた金額です。デイユースの料金は日付と空室状況で大きく動くため、この金額がそのまま適用されるわけではありません。予約時に必ずご確認ください。
この表で目を引くのは、同じ「6時間」でも5,670円から13,470円まで、倍以上の開きがあることです。デイユースの価格帯はおおむね5,000円台から2万円近くまで広がっていて、「相場はいくら」と言える状態ではありません。ビジネスホテル系は抑えめ、シティホテル系やイベント会場に隣接する施設は高めになる傾向があります。
これは欠点というより前提の違いです。逆に言えば、その枠にまるごと予定を収められるなら、非常に強い選択肢になります。
判断の分かれ目は単純で、その日に確保したい時間が「まとまっているか」、そして「枠の時刻と噛み合うか」です。午後いっぱい会議と作業が続くならデイユース。1本だけの会議なら、枠を持て余します。
見落とされがちですが、実務ではここでつまずきます。
プラン名には「最大6時間」といった表示が並びますが、これは枠の中で最大どれだけいられるかという意味です。開始時刻に入らなければ、その分だけ短くなります。
先ほどの表を、この観点で読み直してみます。ヴィラフォンテーヌ グランド 東京有明の「12:00〜18:00・最大6時間」は、6時間まるごと使うなら12時に入るしかありません。13時に入れば5時間です。同じホテルの「12:00〜24:00・最大4時間」は、上限が4時間と短いかわりに、遅く入っても4時間を確保できます。
そのうえで、施設によっては最終チェックインが別に設定されていることもあります。「夜まで開いている」ことと「夜から入れる」ことは別なので、予約画面で入室できる時刻を確認しておく必要があります。
一方で、夕方以降がまったく不可能というわけではありません。同じく有明には「17:00〜23:00・最大6時間」の枠があり、17時から入れます。夕方に会議が入る日でも、枠さえ合えば使えます。
ただし選択肢が絞られることは確かです。夕方以降に始まる会議のために当日デイユースを探すと、対応している施設が近くにない、あるいは空いていないという状況になりやすくなります。あらかじめ枠を確認して予約しておけるかどうかが、デイユースを使えるかどうかの分かれ目になります。
枠で買う以上、避けられない構造です。
価格水準がどうであれ、デイユースには共通する構造があります。枠を使い切らないほど、実質的な時間単価が上がるということです。
先ほどの表で計算してみます。6時間5,670円の枠を使い切れば1時間あたり約945円。6時間13,470円なら約2,245円です。ここまでは設備を考えれば理解できる水準でしょう。
ところが同じ枠を1時間の会議のためだけに取ると、その1時間に5,670円なり13,470円なりを払うことになります。時間単価は6倍に跳ね上がります。
延長も安くはありません。アパホテルは20時までの延長を1時間ごとに1室2,000円(税込)と案内しています。枠からはみ出したときのコストは大きいと考えておいたほうが安全です。
参考までに、当社のブースは拠点・曜日・時間帯により1時間299円〜607円です。平日448円の拠点なら6時間で2,688円になります。数時間を超えて使い、かつシャワーやベッドが要るならデイユース。短ければブース、という分かれ方になります。
無人化は進んでいますが、デイユースで使えるかは別です。
デイユースでも入室にはチェックイン手続きが必要です。ただし、その方法は施設によって分かれます。
ここで注意したいのは、宿泊で無人チェックインを導入しているホテルでも、デイユースプランが同じ運用とは限らないことです。日帰り利用は取り扱いが分かれやすく、フロント対応のみとしている施設もあります。無人での入室を前提にするなら、予約前に確認しておいたほうが確実です。
いずれの方式でも、端末の操作、部屋までの移動、荷物を置いて機材を出すところまで含めると、入館から会議開始までは10〜15分は見ておくと落ち着いて始められます。
もうひとつ、駅からの距離も確認しておいてください。ビジネスホテルは駅前立地が多いのですが、デイユースプランを設定しているかどうかは施設ごとに違います。「駅前にホテルがある」ことと「そのホテルが日帰りプランを出している」ことは別の話なので、予約サイトで対応施設を絞り込んでから場所を見るほうが確実です。
デイユースは、客室に余裕がある日に出てくる性格のプランでもあります。平日は設定がない、あるいは満室で選べないという日も起こります。確実に押さえたいなら、早めに予約しておくことになります。
枠に予定が収まるかどうかで決まります。
半日まとまって確保したいとき、面接や商談が続く日、合間に仮眠や着替えをしたいとき、荷物が多いとき、事前に予定が固まっているとき。
3〜4時間の作業。枠を余らせますが、設備を考えれば納得できる範囲です。合う枠が見つかるかどうかで決まります。
1〜2時間だけの利用、思い立ってすぐ入りたいとき、予定が流動的で終了時刻が読めないとき、近くに対応施設がないとき。
整理すると、デイユースは「その日の予定をまるごと引き受ける」用途に向いています。設備が揃っているのも、枠で売っているのも、同じ設計から来ています。細切れの時間や、直前の思いつきに対応する作りにはなっていません。
競合というより、確保したい時間の長さで住み分けます。
SoloWork・SpemaBox は、駅近の1名用の完全個室・防音ワークブースです。1時間から予約でき、無人運営なので受付での手続きがありません。予約から解錠までスマートフォンで完結します。夕方でも深夜でも、空いていれば直前に押さえられます。
一方で、デイユースが優れている点もはっきりしています。当社のブースは広さが約1.2㎡で、シャワーもベッドもありません。有線LANは使えず、Wi-Fiのみです。半日こもるなら、快適さではデイユースのほうが上です。
遮音についても、どちらが上と単純には言えません。当社のブースは、大きめの声(80〜90デシベル程度)がブースのすぐ外では20デシベルほど、隣のブースの中では40デシベルほど下がるという水準です。ただしこれは実測の減衰量で、先ほどのD値は隣り合う室の間で測る等級です。測り方が違うため、そのまま比べられるものではありません。言えるのは、どちらも「作りによって差がある」「完全な無音にはならない」という点は共通しているということです。
ちなみに当社の大森拠点は、ホテルの1階待合スペースに設置されています。同じ建物のなかに「客室」と「ブース」が存在しているわけで、用途の違いがそのまま形になっているとも言えます。
選ぶ基準としては、確保したい時間が3〜4時間を超えるかどうか、そして予定が事前に固まっているかどうか。長くて固まっているならデイユース、短いか流動的ならブースのほうが噛み合います。
全ブースが1名用の完全個室。内側はサムターン錠、離席時は外側のロックボタンで施錠できます(再入室は暗証番号の再入力が必要)。
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・拠点一覧(各拠点の最寄駅・営業時間・料金)
2026年8月時点で公表されている以下の情報に基づいています。
・日本建築学会編『建築物の遮音性能基準と設計指針[第二版]』(技報堂)— 室用途別の適用等級、性能水準の説明、遮音等級と生活実感の対応例
・JIS A 1419-1:2000「建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法-第1部:空気音遮断性能」— 室間音圧レベル差等級の記号(Dr)
・アパホテル「日帰り・デイユース」(利用時間・延長料金)
・アパホテル〈新宿 歌舞伎町中央〉/アパホテル&リゾート〈東京ベイ潮見〉(枠と料金の目安。楽天トラベル掲載分)
・ヴィラフォンテーヌ グランド 東京有明(枠と料金の目安。楽天トラベル掲載分)
プランの有無・時間帯・料金・最終チェックインは、施設および時期によって異なります。掲載した料金は取得時点で「直近30日間の目安」として表示されていた1名利用・税込の金額であり、日付や空室状況によって大きく変動します。デイユースは期間限定で提供されることも多く、過去に提供されていたプランが終了している場合もありますので、ご利用前に各施設の公式サイトで最新の情報をご確認ください。また、勤務先の情報セキュリティ規程がある場合は、そちらの定めが優先されます。